【介護保険あれこれ】地域包括ケアシステムにおけるケアマネージャーの役割

長 幸美

アドバイザリー

今回の介護報酬改定の中で、ケアマネージャーの役割がクローズアップされております。
大きく変わることは居宅支援事業所の指定権限が都道府県から市町村へ委譲されることでございます。今まで市町村が窓口になり県の指定を受けていたものが、市町村の指定と変わります。このことにより地域包括ケアシステムを進めていく中で、ケアマネージャーのポジションや役割はどう変化するのでしょうか。

ケアマネ

出典:社会保障審議会介護保険部会(第51回)厚労省資料より

ケアマネージャーは、居宅において受けられる介護サービスなどの紹介、ケアプランの作成とサービスの調整、サービス給付費の計算や請求などを利用者に代わって行います。

今回の改定で、これらの基本的な役割のほか、地域ケア会議等により、地域の中で情報を共有していく事、リハビリテーション会議に参加し、より利用者の「生活」を豊かにする取組が必要となってきております。

地域包括ケアのもと利用者が必要としていることは、「医療」と「介護」をシームレスにつなぐ仕組みをどう作っていき、どのように生活を支えてくれるのか?ということでございます。
ケアマネージャーは看護師・介護福祉士・社会福祉士など、医学的な知識をそれなりに習得していますが、その知識をどこまでケアプランに落とし込んでいるか、千差万別で、多くの場合医療へのかかわりかたが問題となっております。利用者にどう寄り添い、情報を共有し、利用者の生活を支えるために、どのようにコーディネートしていくのかを問われているように思います。

適切なアセスメントと良質なケアプラン作成のために、ケアマネージャーは「誰のために仕事をしているのか」という理念に戻り、責任と使命感を持つ。そういうことを心に刻み込める研修・育成が大事になるのではないでしょうか? 得意分野、不得意分野をどのように補っていくのかが重要になってくるように感じております。

また、質の高いケアマネジメントを実施する事業所の評価を推進するために、「特定事業所加算」として人員配置要件の強化やケアマネージャーの資質を高めるための「研修・教育」に関する協力体制を整備している場合を算定要件に追加するとともに、中重度者の利用者への対応状況を評価した算定要件へと変わってきております。

また、特定事業所集中減算の対象サービスが全サービスへ拡大され、認知症加算・独居高齢者加算が基本報酬に包括化されました。このため、多くの事業所で実質収入がダウンしてしまうことになります。特定事業所集中減算に関しては、減算回避へ向けた「正当な理由」がどの程度認められるのか、今後厚労省が公表するQ&Aを確認したうえで対策の検討が必要になってくると思われます。

<参考資料>
介護保険最新情報Vol.455:「介護支援専門員地域同行型研修の実施について」

介護保険最新情報Vol.419:「介護支援専門員資質向上事業の実施について」

介護保険最新情報Vol.454:「平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(平成27年4月1日)」

資料3 その他(PDF:396KB):社会保障審議会介護保険部会(第51回)厚労省資料

経営コンサルティング部
経営支援課

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