「国外財産調書」の提出が義務付けられています

光保 則子

税務・会計

近年、国外財産の保有が増加傾向にある中、海外の財産について適正な課税環境を整備すべく始まりました。海外の口座の情報を入手し易くするため、各国の国税当局間をオンラインでつなぎ情報共有しようと、新たな仕組みも導入され始めているようです。この制度は、一定の居住者の方で、その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する方は、その国外財産の価額等を記載した「国外財産調書」を、その年の翌年の3月15日までに、住所地等の所轄税務署に提出しなければなりません。

国税庁の公表によると、創設初年度の平成26年提出分(平成25年分)は、調書の総数5,539件、国外財産の価額の総合計額2兆5,142億円。財産の種類別総額は、有価証券が最も多く、1兆5,603億円。全体の62.1%を占め、次いで、預貯金、不動産でした。価額の邦貨換算も税目ごとに定められています。例えば、所得税の申告では、外貨建取引を行った時における外国為替の売買相場により換算した金額とし、原則は取引日における電信売相場(TTS)と電信買相場(TTB)の仲値(TTM)を基準に行います。又、この制度には、自主的な提出を促す観点から、罰則規定が設けられています。

期限内に提出した場合には、その後申告漏れが生じた時であっても、加算税等は5%軽減されます。しかし、期限内に提出しなかった場合、記載がなかった場合、不十分であった場合等、申告漏れが生じた時は、加算税が5%加重されます。

さらに、平成27年提出分(平成26年分)からは、偽りの記載をしたり正当な理由がなく期限内に提出しなかった場合等には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されることがあります。

国外財産の価額が5,000万円前後の場合は、特に注意が必要です。ご不明なことはご遠慮なくお問い合わせください。

コンサルティング部 税理士

著者紹介

光保 則子
税務会計コンサルティング部 審理室 室長

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